賃貸物件があるので不動産事業を始めたい(個人編)

お問い合わせがあったので、調べてみました。
沖縄だと軍用地を相続で取得することもあります。
遺言書作成業務にもかかわってくるかもしれません。確かに気になりますね。

目次

  1. はじめに:不動産収入と税金の話
  2. ステップ1:「開業届」って何?出すべき?
  3. ステップ2:「青色申告」とは?節税へのカギ
  4. あなたの不動産経営は「事業」?「お小遣い稼ぎ」?(事業的規模の話)
  5. 青色申告を選ぶと、こんないいことが!(節税メリット)
  6. アパート1室だけ…小規模でも青色申告できる?
  7. 不動産「売買」の場合はどうなるの?
  8. 手続きはどうやるの?(開業届・青色申告承認申請書の提出)
  9. 青色申告の注意点・デメリットは?
  10. 【重要】結局どうすればいい?目的別・規模別おすすめアクション
  11. 最終チェック!今日のポイント総まとめ

1. はじめに:不動産収入と税金の話

マンションやアパートの家賃収入、駐車場の賃料、または不動産を売買して利益が出た…そんなあなたに関係するのが「税金」の話です。

実は、ちょっとした手続き、具体的には「開業届」の提出や「青色申告」という方法を選ぶことで、払う税金を賢く節約できる可能性があります。特に、ある程度の規模で不動産賃貸を行っている方には、大きなメリットがあります。

この記事では、「開業届って何?」「青色申告って難しそう…」「私の場合はどうなの?」といった疑問に、答えていきます。
参考になれば幸いです。

このセクションのまとめポイント

  • 不動産収入には税金がかかる。
  • 「開業届」と「青色申告」で節税できる可能性がある。
  • この記事で、その方法と注意点を分かりやすく解説!

ステップ1:「開業届」って何?出すべき?

開業届」(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)とは、「私、これから(または、すでに)事業として収入を得る活動を始めますよ!」と税務署にお知らせする書類のことです。

不動産賃貸で家賃収入を得る場合(これは不動産所得といいます)や、不動産売買を繰り返し行う場合(これは事業所得になることがあります)は、この届出の対象となります。

提出期限:事業を開始してから原則1か月以内
罰則:提出しなくても直接的な罰則はないそう。

実は、後で説明する大きな節税メリットがある「青色申告」をするためには、この開業届を提出していることが大前提になります。節税を考えるなら、提出しておきましょう。

このセクションのまとめポイント

  • 開業届は「事業始めます!」のサイン。不動産収入があるなら対象。
  • 期限は事業開始から1か月以内。
  • 節税策「青色申告」のためには提出が必須!

ステップ2:「青色申告」とは?節税へのカギ

青色申告」とは、確定申告の方法の一つです。簡単に言うと、「ちゃんと帳簿をつけて真面目に申告するから、税金お得にしてください!」という制度です。

日々の収入や経費をルールに従って記録(記帳)し、それに基づいて所得を計算して申告します。帳簿のつけ方には、しっかり記録する「複式簿記」と、少し簡単な「簡易簿記」があります。どちらを選ぶかで、受けられる節税メリットが変わってきます。

青色申告をするための手続き:

  1. まず「開業届」を提出する。
  2. 所得税の青色申告承認申請書」という別の書類を提出する。

申請書の提出期限:

  • 原則:青色申告を始めたい年の3月15日まで
  • 年の途中(1/16以降)で開業した場合:開業日から2か月以内

この期限は非常に重要です。遅れるとその年は青色申告が使えません!

このセクションのまとめポイント

  • 青色申告は「ちゃんと帳簿をつける代わりに税金がお得になる」制度。
  • 利用するには「開業届」+「青色申告承認申請書」の提出が必要。
  • 申請書の提出期限(3月15日 or 開業から2か月以内)は絶対守ること!

4. あなたの不動産経営は「事業」?「お小遣い稼ぎ」?(事業的規模の話)

不動産賃貸の収入(不動産所得)がある場合、税務署はその規模によって扱いを少し変えます。その境目となるのが「事業的規模」かどうか、という点です。

簡単に言うと、「本業レベルでやってるか(=事業的規模)」か「副業・お小遣い稼ぎレベルか(=業務的規模)」か、というイメージです。この判断で、青色申告のメリットの大きさが変わってきます。

目安となる基準:「5棟10室基準

  • 戸建て賃貸なら → 概ね5棟以上
  • アパート・マンションなら → 概ね10室以上

(注:あくまで目安です。収入状況なども考慮されます)

この基準をクリアしていれば「事業的規模」。クリアしていなければ「業務的規模」と判断されることが多いです。

このセクションのまとめポイント

  • 不動産賃貸には「事業的規模」と「業務的規模」がある。
  • 目安は「5棟10室」。これを超えると事業的規模の可能性大。
  • 事業的規模かどうかで、受けられる青色申告のメリットが変わる!

5. 青色申告を選ぶと、こんないいことが!(節税メリット)

では、具体的に青色申告を選ぶとどんな節税メリットがあるのでしょうか?主なものを紹介します。

最大の魅力!所得からガッツリ引ける「青色申告特別控除」

所得(儲け)から一定額を差し引ける、非常に強力なメリットです。差し引ける額が大きいほど、税金が安くなります。

  • 最大65万円控除】
    • 条件:事業的規模複式簿記e-Tax申告(または電子帳簿保存)
  • 最大55万円控除】
    • 条件:事業的規模複式簿記 + 紙で期限内に申告
  • 最大10万円控除】
    • 条件:上記以外(業務的規模の場合 や 簡易簿記の場合など)

65万円控除が一番お得ですが、そのためにはしっかり帳簿(複式簿記)をつけて、電子申告(e-Tax)などをする必要があります。

赤字が出ても安心!「損失の繰越控除」

不動産経営で赤字(損失)が出てしまった場合、その赤字を翌年以降3年間にわたって、黒字になった年の所得から差し引くことができます。これにより、将来の税金を減らせます。(これは事業的規模でも業務的規模でも使えます!)

家族への給料も経費に!「青色事業専従者給与」

事業的規模の場合限定ですが、一緒に住んでいる配偶者や親族(15歳以上)が、あなたの不動産事業をもっぱら手伝ってくれている場合、その人に支払う給料を全額経費にできます。(事前に届出が必要、給料額は妥当な範囲で)

認められる経費が増えるかも?

青色申告をすると、例えば自宅の一部を事務所として使っている場合の家賃や光熱費の一部(家事按分)などが、経費としてより明確に認められやすくなる傾向があります。

【事業規模なら】高額な備品も一括経費に?「少額減価償却資産の特例」

事業的規模の場合、エアコンや給湯器など、30万円未満の設備を購入した場合、その年に全額を経費として計上できる特例があります(年間合計300万円まで)。これにより、購入した年の税金を大きく減らせることがあります。

このセクションのまとめポイント

  • 青色申告の最大のメリットは「特別控除」(最大65万円!)。
  • 赤字を3年間繰り越せるのは大きな安心材料。
  • 事業的規模なら、家族への給料や30万円未満の備品も経費にできる特典あり。
  • 経費として認められる範囲が広がる可能性も。

6. アパート1室だけ…小規模でも青色申告できる?

「うちはアパート1室だけだから、事業的規模(5棟10室)じゃないや…」という方も、諦めるのはまだ早い。

業務的規模(小規模)であっても、開業届を出し、青色申告承認申請をすることは可能らしい。

ただし、受けられるメリットが限定されるそう。

  • 青色申告特別控除:最大10万円
  • 損失の繰越控除:適用OK!(赤字を3年間繰り越せる)
  • 青色事業専従者給与:利用不可
  • 少額減価償却資産の特例:利用不可

たとえ10万円の控除でも、やらないよりはいいのかな。
赤字になった場合に損失を繰り越せるメリットは大きいですね。

このセクションのまとめポイント

  • 小規模(業務的規模)でも青色申告はできる!
  • 控除は10万円になるが、赤字の繰越は可能!
  • 将来のため、収支管理のためにも検討の価値あり。

7. 不動産「売買」の場合はどうなるの?

ここまでは主に「賃貸」の話でしたが、「売買」の場合は少し異なります。

個人が持っている不動産を売って利益が出た場合、その利益は原則として「譲渡所得」という扱いになります。
これは、家賃収入(不動産所得)とは別のルールで税金が計算され、通常、青色申告の対象にはなりません。

ただし、例外があります。

不動産屋さん(宅建業者)のように、何度も継続的に、利益目的で不動産を売買していると判断される場合は、「不動産業」という事業所得とみなされることがあります。この場合は、開業届を出し、青色申告を選ぶことが可能です。

「自分の場合はどっち?」と迷ったら、税務署や税理士に確認を!

このセクションのまとめポイント

  • 不動産「売却」の利益は、基本的には「譲渡所得」。青色申告の対象外。
  • 繰り返し売買している場合は「事業所得」となり、青色申告できる可能性あり。
  • 判断に迷ったら専門家に相談!

8. 手続きはどうやるの?(開業届・青色申告承認申請書の提出)

青色申告を始めるための具体的な手続きの流れです。

  1. 必要な書類を入手・作成する
    • 個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)「所得税の青色申告承認申請書」(家族に給料を払う場合)「青色事業専従者給与に関する届出書」
    書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
  2. 提出先を確認する
    • 自分の住所地(納税地)を管轄する税務署
  3. 提出する(期限厳守!
    • 税務署の窓口に直接持っていく
    • 郵送する(控えが必要な場合は、返信用封筒と切手を同封)
    • e-Tax(電子申告)で提出する(マイナンバーカードなどが必要)

特に「青色申告承認申請書」は提出期限(原則3月15日)があるので注意してください。

このセクションのまとめポイント

  • 必要な書類(開業届、青色申告承認申請書など)を作成する。
  • 管轄の税務署に、窓口・郵送・e-Taxのいずれかで提出。
  • 会計ソフトを使うと書類作成が楽なことも。
  • とにかく提出期限を守ることが最重要!

9. 青色申告の注意点・デメリットは?

いいことずくめに見える青色申告ですが、注意点もあります。

  • 帳簿付けが必須(手間がかかる!)
    • 特に65万円/55万円控除を目指すなら「複式簿記」という、少し複雑な方法での記帳が必要です。
    • 簡易簿記(10万円控除)でも、日々の記録は必要です。
    • これが面倒だと感じる人も多いです。(会計ソフトや税理士の活用も検討)
  • 書類の保存義務
    • 帳簿や領収書などの書類は、原則7年間(一部5年間)保管しなければなりません。
  • 税務調査の可能性?
    • 事業として申告することで、白色申告よりは税務署のチェックが入りやすくなる可能性はゼロではありません。(もちろん、正直に申告していれば怖がる必要はありません)

これらの手間や義務を理解した上で、メリットと比較して導入を検討しましょう。

このセクションのまとめポイント

  • 最大の注意点は「帳簿付けの手間」。特に複式簿記は慣れが必要。
  • 領収書などの書類は7年間保存
  • メリットと手間を天秤にかけて判断しよう。

10. 【重要】結局どうすればいい?目的別・規模別おすすめアクション

ここまで読んで、「じゃあ、自分はどうしたら一番いいの?」と思われた方へ。あなたの状況に合わせたおすすめのアクションプランをまとめました。

パターンA:不動産賃貸が「事業的規模(5棟10室以上)」の方

▶ おすすめアクション:開業届+青色申告承認申請書を提出し、「青色申告(65万円控除目標)」を目指す!

理由:
✅ 節税効果が最も大きい(最大65万円控除は非常に強力!)
✅ 赤字の繰越、家族への給与、少額資産の特例など、使えるメリットが多い。
複式簿記e-Taxのハードルはあるが、会計ソフトや税理士を活用すれば十分可能。

やること:

  1. 開業届と青色申告承認申請書を期限までに提出する。
  2. 複式簿記に対応した会計ソフトを導入するか、税理士に相談する。
  3. e-Taxでの申告準備を進める(マイナンバーカード取得など)。

パターンB:不動産賃貸が「小規模(5棟10室未満)」の方

▶ おすすめアクション:開業届+青色申告承認申請書を提出し、「青色申告(10万円控除)」を検討する。

理由:
10万円控除でも、やる気力がある方。
✅ 万が一赤字になった場合に損失を3年間繰り越せるのが大きなメリット。
✅ 簡易簿記でもOKなので、複式簿記ほどのハードルはない。

やること:

  1. 開業届と青色申告承認申請書を期限までに提出する。
  2. 簡易簿記(または複式簿記)で収支を記録する準備をする(会計ソフトやエクセルなど)。

パターンC:不動産「売買」が中心の方

▶ おすすめアクション:まず、自分の売買が「事業所得」にあたるか税務署や税理士に確認する。

理由:
✅ 通常の不動産売却(譲渡所得)なら青色申告は関係ない。
✅ もし「事業所得」と判断されれば、パターンAまたはBと同様に青色申告を検討できる。

やること:

  1. 過去の売買実績や今後の予定などを整理する。
  2. 税務署の窓口や電話相談、または税理士に相談して、所得区分を確認する。
  3. 事業所得なら、開業届や青色申告の手続きを進める。

11. 最終チェック!今日のポイント総まとめ

最後に、これだけは覚えておきたいポイントをまとめました。

項目カンタンに言うと?特に重要なアクション
開業届「事業始めます!」のサイン青色申告したいなら必須。事業開始1か月以内に提出。
青色申告「帳簿つけるから税金お得にして!」承認申請書を期限内(原則3/15)に提出。
事業的規模本業レベルの不動産賃貸(目安:5棟10室)これに該当すれば青色申告メリット(最大65万円控除等)。
業務的規模小規模の不動産賃貸青色申告(10万円控除、赤字繰越)は可能。
節税メリット税金が安くなる特典あり最大65万円控除、赤字3年繰越、家族給与経費化など。
注意点手間や義務もある帳簿付け(特に複式簿記)、書類7年保存。

👉 自分の状況に合わせて、適切な手続き(開業届・青色申告承認申請)を期限内に!

👉 面倒でも帳簿付けを頑張る(or プロに頼む)覚悟を!



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